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「まぁ!刹那だって充分に失礼だと思うわよ」
「何処がよ!?」
「みんなのアイドル的存在でもあるあの三人と品位の欠片もない刹那が婚約者に選ばれただけでも幸せだというのに。何をそんなに不満に思うことがあるのかしら?」
「ありまくりよ!…っーか、柊はどっちの味方なのよ?」
「あら、愚問だわね。私は刹那の味方に決まってるじゃないの」
「そう、なら良いけど」
「フフッ。本当に羨ましいわ」
「何が?」
「私もあの三人の誰かと婚約者になれたら良かったのに…と考えてしまうんですのよ」
「………柊」
「あら嫌だわ。そんなお顔をなさらないで。ただ言ってみたかっただけですから」
「柊はさ、家を継ぐんだよね?」
「ええ」
「つまり親が勝手に決めた相手と結婚するんだよね?」
「ええ」
「…ッ!嫌ぢゃないわけ!?」
「嫌に決まってますわ」
「なら、どうして!?」
「私が反対した所で何一つ変わりはしませんわ」
「やってみなきゃ分からないぢゃない!?」
「刹那みたいに誰もが強いわけじゃありませんのよ!どんなに私が抗ったって親からすればひと捻りで潰せるほどの小さな芽でしかありませんわ!」
「でも…柊」
「刹那もいずれ分かりますわ」
「ごめん。他人の生き方に告げ口なんてするもんぢゃないね」
「ええ…ですけれど刹那の心配して下さるお気持ちだけは頂きますわ」
「う、うん」
「…どうか刹那は微笑っていて下さいな。これでも私、刹那の夢話には凄く興味がおありますのよ!だから話して下さらない?」
「うん!」
それからずっと…二人は学園が終わるまで夢話を語り合っていた。
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