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「お帰りなさいませ。お嬢様」
「…ただいま」
家に着くといつものように湊斗が出迎えてくれた。
「どうかなさいましたか?」
「何も」
「ですが…」
「今日は疲れたの。少し一人になりたいから湊斗は下がって」
「承知致しました」
刹那の命令を受けて湊斗は下がり台所へと向かった。
(ご飯を食べる気なんてないし)
湊斗が去った後を見届けた後、一人階段を上り自分の部屋と向かう。
(柊…あれで良いのかな?)
柊のことを考えながら窮屈な制服を脱ぎ無造作にそこら辺に投げ飛ばした後、ベットへと流れ込む。
(私には…何も出来ないか)
はぁ、と大きく溜息をついているとコンコン、と扉を叩く音がした。
「………誰?」
「湊斗でございます、お嬢様」
「しばらく一人にして」
「失礼致します」
刹那の命令とは裏腹に扉は開かれ湊斗が部屋へと入って来た。
「ちょッ!?湊斗」
「申し訳ございません。ですが…あまりにもお嬢様がお元気なかったのでお嬢様の大好きな料理をお持ち致した所存でございます」
「それは…」
「湊斗特製・スタミナ料理でございます」
「クスッ。私が大好きな料理だわ」
「これを食べてお元気を出して下さいませ」
「有難う///」
「いえ…執事として主を元気づけるのもまた当然の事ですから」
そう言うと湊斗はそこら辺に無造作に放り投げられた制服に目を止める。
「うん!美味しいって…あ、あれは今から片付けるから」
湊斗が見つめる先に気付いた刹那は必死に言い訳をする。疲れてるのに湊斗の説教は御免だからだ。
「お嬢様。今日だけは特別に許してあげます」
「えっ?良いの!?」
「今日だけ、ですからね」
「有難う、湊斗」
お礼をしてる間に湊斗はそこら辺に無造作に放り投げられてる制服を取り綺麗にクローゼットの中に閉まった。
「では。まだ執務が残っておりますので」
「ご苦労様、本当に有難うね」
「いえ。それでは失礼致します」
湊斗は静かに部屋を出ていった。
(湊斗にはお見通しか…)
それから湊斗の特製・スタミナ料理を残す事なく平らげ刹那は静かに眠りに落ちていった。
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