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「ハァ…ハァ…何とか…間に合った、みたい…だね」
「ハァ…ハァ…そう、ですわね…ハァ」
遅刻ギリギリで学校に到着した二人は息を整えるのに必死だった。
「おいおい。俺様の婚約者であろう奴が朝から遅刻とは笑わせる」
突然出てきた、いかにも俺様口調の男の方を刹那はきつく睨み付ける。
「…ハァ。うっさいわ!俺様野郎」
「ほぅ。この俺様に対してその口の利き方とは。まぁ、威勢の良さだけは褒めてやるがな」
「さぁ~て!柊、行こうか♪」
俺様口調の男をシカトして柊の方に振り向く。
「?ええ…でも」
「おいッ!そこのピンク頭。この俺様をシカトとはなんて奴だ」
(朝から煩い奴ばかりに遭遇するなんて最悪…)
「聞いてんのか!?おい」
「あー煩いわね!言っとくけど…私はあんたなんかを婚約者として認めてなんかないっーの!」
「お前が認めようが認めなかろうが関係ないさ。親が決めたんだ。お前に拒否権はない」
「あっ、そ!」
あからさまに頭にくるこの俺様野郎は私の親が勝手に決めた第一候補の婚約者である、如月財閥のご子息・如月遠夜。
見た目は金髪に紺碧の瞳。耳にはピアスを何個かつけている。いわゆる不良青年に近い。しかし端から見れば美青年にも見えるほどの顔立ちである。
性格はとにかく俺様野郎!世界は俺のものと思っている大馬鹿野郎ね。そしてかなりの強引者でドS要素ありまくりの奴。
「そんなつれない態度も好きだぜ、刹那」
「朝から目障りだから!」
遠夜と口喧嘩(端から見れば痴話喧嘩)をしている間に隣に居たはずの柊の姿は消えていた。
(逃げたわね…柊の奴)
仕方なく刹那は遠夜の横を通り抜けようと歩きだしたがいきなり遠夜に手を掴まれる。
「ちょ!何すんのよ」
「この俺様がわざわざ出向いてやったんだ。お礼のキスくらい当たり前だろ?仮にも婚約者なんだからよ」
「だーかーらー!私はあんたを婚約者として認めてないって言って…」
「俺様の命令は絶対だ」
強引に私の顎を挙げ、遠夜の顔が私の顔に近づいてくる。
―――キスされる!?
(誰か助けて!)
嫌がる刹那に遠夜はお構いなしに唇を近づけてくる。
10㎝…
5㎝…
3㎝…
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