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顔合わせは劇場の2階にある会議室で行われた。
口の字に並べられた机には、キャストとスタッフが座っている。
正面には演出、舞台監督、プロデューサーが陣取っている。
隼人と弦はその右斜めに並んで座っていた。
弦は小声で、
「あれが、つかだこうへいか!?」
と、隼人に言うと
「そうだ…」
と、同じく小声で答えた。
「えー皆さん、こんにちは…」
突然に、プロデューサー助手らしき男が口を開き、初顔合わせ式が始まった。
「今回、『平成版 蒲田行進曲』の公演にあたり演出のつかだ先生よりご挨拶頂きます。先生宜しくお願いします…」
「演出のつかだです。こうして皆さんと一緒に芝居を創るというのも何かの縁です。この縁を大切にしましょう。私からは以上です」
あまりにあっさりした挨拶に弦は、
「えーっ。めっちゃ普通じゃん」
と、顔をそむけたまま、またまた小声で言った。
その後にプロデューサーや舞台監督の挨拶があったが弦は退屈そうに、頬杖えを付いたていた。
そんな弦の態度を、隼人は“ヤツなりの緊張隠し”と思って黙っていた。
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