最初の相手

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救急箱をテーブルの上に置いて消毒液とガーゼそして絆創膏を取り出した。 「話は兄から伺いました。酷いですね!一分や二分の遅刻だけで殴るなんて!!何かあったら私に相談して下さい!」 口許を切っており、ガーゼで押えて消毒液をかけてティッシュで余分な部分を拭いて、絆創膏を貼った。 「えっ?」 「私の親友も付き合っていた彼がDV男と聞いてそれを思い出して…あっ携帯貸して下さい!赤外線送~信」 美加は沙姫に罪悪感を感じた。嘘とは言え、本気で自分を心配してくれる。その優しさが心を痛めた。するとドアが閉まる音が聞こえた。 「侑兄ぃ!おかえり!」 『ただいま沙姫。お客さん?』 手話の事はまだ解らないが多分美加の事を聞いているのだろう。 「うん。水野椿さん」 「えっと…」 手話はまだした事が無いので困る美加に沙姫は優しく答えた。 「大丈夫ですよ!私が通訳しますから」 「あっ…そうなの。はじめまして水野椿です」 『はじめまして。間宮侑斗です』 侑斗は慶介より若干低いが、長身には変わりは無い。暫くは兄妹で話をしていた。 「あの…私そろそろ帰りますね。」 「そうですか…また遊びに来て下さい!」 『僕ももっと話がしたいので』 美加はまた胸を痛めた。沙姫と侑斗の優しさと純粋さに…。 「手当てありがとうね。沙姫ちゃん」 と言って美加はマンションを後にした。そして兄に電話をかけた。
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