1人が本棚に入れています
本棚に追加
救急箱をテーブルの上に置いて消毒液とガーゼそして絆創膏を取り出した。
「話は兄から伺いました。酷いですね!一分や二分の遅刻だけで殴るなんて!!何かあったら私に相談して下さい!」
口許を切っており、ガーゼで押えて消毒液をかけてティッシュで余分な部分を拭いて、絆創膏を貼った。
「えっ?」
「私の親友も付き合っていた彼がDV男と聞いてそれを思い出して…あっ携帯貸して下さい!赤外線送~信」
美加は沙姫に罪悪感を感じた。嘘とは言え、本気で自分を心配してくれる。その優しさが心を痛めた。するとドアが閉まる音が聞こえた。
「侑兄ぃ!おかえり!」
『ただいま沙姫。お客さん?』
手話の事はまだ解らないが多分美加の事を聞いているのだろう。
「うん。水野椿さん」
「えっと…」
手話はまだした事が無いので困る美加に沙姫は優しく答えた。
「大丈夫ですよ!私が通訳しますから」
「あっ…そうなの。はじめまして水野椿です」
『はじめまして。間宮侑斗です』
侑斗は慶介より若干低いが、長身には変わりは無い。暫くは兄妹で話をしていた。
「あの…私そろそろ帰りますね。」
「そうですか…また遊びに来て下さい!」
『僕ももっと話がしたいので』
美加はまた胸を痛めた。沙姫と侑斗の優しさと純粋さに…。
「手当てありがとうね。沙姫ちゃん」
と言って美加はマンションを後にした。そして兄に電話をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!