プロローグ

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数ヶ月がたち、夏休みの前日まで来た。 発作は運動をしても1日もしない間に起こるほどに悪化していた。 みんな明日から夏休みということでテンションが上がっていたが… 新学期にはもういないかもな… 俺だけは絶望感に満ち溢れていた。 学校は終業式も終わり、午前日課だったため昼前に下校。 クラスのみんなと会えるのは今日が最後になるかもしれないが、全く悲しいとも寂しいとも思わなかった。 しょせんろくに話したこともない連中だからだろうか… 家に帰って昼飯を食べると、もはや日課であるランニングに出かけようとしたら、親に納戸の掃除を手伝ってほしいと言われた。 あと少しで死にそうだというのに、掃除の手伝いなんか普通やらせるか? 最近は親にすらよくウザいと感じている。 俺はしぶしぶ掃除の手伝いをしにいった。 掃除なんか速く終わらせてランニングに行こうと思っていたが、予想を遥かに超えて納戸の掃除はハードだった。 普段鍛えていない筋肉を使うため、かなりの重労働となった。 そんな中、凄い古くさくて興味深い歴史書を見つけた。 基本納戸にあるのはアルバムだとか、鯉のぼりや雛人形など行事に使う大道具だが、やけに変わった感じのした本だったので、掃除が終わった後納戸に戻り例の歴史書を読んだ。 その歴史書にはこう書かれていた。 『この世界で忘れ去られたものが存在する世界があり、そこには妖精や妖怪、超能力をもった人たちがいる』 あまり歴史書とかには興味なかったので本を閉じようとしたら、驚くべき文章を目にした。 『この世界にはどんな病をも治すことができる薬を作れる薬師がいる。』 正直最初はいんちきかと思ったが、最後のこの一文に俺の心は完全に奪われた。 どんな病も治せる薬師… 瞬間、自分が生き延びる道はここしかないと思った。 最も、誰が書いたかもわからないこんな本をあてにするつもりはないが、このままじっと死を待つより、自分の命が尽きるまでに探してだして行ってやろうと思った。 この世に存在しなくなったものが存在する世界… 幻想郷へ
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