プロローグ

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少し時が進み、俺が合格した高校の入学式の日になった。 この日まで毎日入院をさせられていた俺だが、今日は医者からの許しをもらい、外出する事ができた。 俺の入学する学校は家からかなり遠く、電車に30分近く乗った後、百段ほどある階段を登った山の上にある。 今更ながら、なんでこんなところの高校に受験してしまったのか後悔している。 本来発作が悪化する恐れがあるため、体に負担がかかる大幅な運動は避けた方がよかったが、医師が同行すると言う形で入学式への参加を許してもらえた。 しかし学校への道のりは本当に辛かった… ただでさえ1ヶ月半入院していて体力が低下してるのに、山を登らなければならないなんて。 付き添いの医者の人でさえ息がきれていたくらいだ。 そして、長い長い道のりを得てようやく学校までたどり着いた。 俺の息はかなり荒れていて、いつ発作が起こってもおかしくない状態だった。 入学式… 多くの新入生が知り合いがいないかキョロキョロと周りを見回していたが、俺にはそんな余裕はなかった。 またいつ発作が起こるか… 発作が起こるであろう午後2時までには式は終わるが、それはあくまでも安静時での記録。無理な運動をした後では発作が早まるかもしれない。 発作が起きて式をめちゃくちゃにしてしまうかもしれない。 そんなことばかり考えていた… だが、結局何事も起こらず式は終わった。 それどころか12時間周期で起こっていた発作がなぜかその日は起こらなかった。
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