4人が本棚に入れています
本棚に追加
行き場の無い悲しみが、あたりを包み込みます。
ただただ、悲しみで涙が止まりませんでした。
皆が泣き崩れて、どれだけの時が流れたでしょう。
「……ライナ……お願いがあるの……。」
静寂を遮ったのは、泣き続け少し声の枯れた、キュリア様の声でした。
その声を聴いた瞬間、ライナを含め、その場にいた女中達全員が、肩をすくめます。
王の命令は、『男児が生まれた場合、その場で殺せ』と言うもの。つまり、今、この場で……。
ライナは、王の言葉を聞いたとき、覚悟をしていました。
もし、男の子が生まれ、そしてキュリア様が生まれた子を手にかけることに抵抗されても、自分が必ず赤子を殺そうと。
何よりも、誰よりも大切な、キュリア様を守るために。
最初のコメントを投稿しよう!