序章:生誕

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「何で御座いましょう。キュリア様。」 風の国が滅び、キュリア様が日の国に嫁がれる時、ライナは自身の全てを捧げ、キュリア様に忠誠を誓いました。 たとえ、何があろうと、キュリア様をお守りすると。何があっても、キュリア様に従うと。 その忠誠は、何があっても、どんなことでも揺ぎ無い物です。  その覚悟を汲んだのか、キュリア様は先ほどまで流されていた涙をふき取り、傍らで寝ていた王子を抱きかかえ、ライナへ渡しました。  王子を差し出されたライナは、真っ直ぐに王子をキュリア様の手から受け取りました。  それは、ライナのすべてをかけた、覚悟の表れでした。  その様子に、キュリア様もコクリと頷かれます。  そして、キュリア様が意を決した様に、改めてライナに向きなおし、仰られました。 「私の親愛なるライナ=アルベージ。貴女の姉妹として、そして、この子達の母親として、お願いします。」
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