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「この子を……私の王子を、守って下さい。」
それは、予想外の言葉でした。
その場にいる誰もが、驚きで言葉を失いました。
「キュリア様……それは、王子様を私がオ育てすると……?」
ライナが動揺しながら問いかけると、キュリア様は静かに首を縦に振りました。
「たとえ王の命令と言えど、この世に生を受けたばかりのこの子には、何の罪もありません。」
キュリア様は、王女様を左手で抱きながら、右手で、ライナの腕に抱かれた王子頬を優しく、愛しそうに撫でられます。
「いけませんっ!それではキュリア様が王に……!」
ライナの声が、思わず大きくなりました。
そう、暴虐不尽のあの王が、命に逆らった者を、許すはずがないのです。
その思いは皆同じなのか、女中達が一斉にキュリア様へ視線を向けました。
その視線に、キュリア様は凛とした声で答えます。
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