序章:生誕

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 昔々あるところに、『日の国』と呼ばれる王国がありました。  その国は、西方三大王国と呼ばれる、『水の国』・『日の国』・『木の国』の中で最も大きく、大変栄えた国でありました。  しかし、その王国を治める君主は、暴虐不尽の限りを尽くす暴君であったのです。  時には、万を超える軍勢を率いて隣接する小さな国々を侵略し、領地を拡大。侵略した国の王族は、一族郎当皆殺しにしました。  また、王に逆らう者あらば、張り付けにした上に、火をかけ生きたまま焼き殺し、税を納めぬ者あらば、家財全てを没収し、その家の家族全てを奴隷として売り払いました。  国の繁栄の陰で行われる暴虐の数々。   しかし、その所業を咎める者は一人も居ませんでした。  そう、日々行われる王の暴虐非道の行い、その恐怖こそが、豊かな繁栄を誇る『日の国』を統治する力だったのです。
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