序章:生誕

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 そんな国に静寂漂うある夜、新たな命が生まれようとしておりました。 「王妃様っ!! お気を確かにっ!!」  白い壁に囲まれた小さな一室に置かれた古ぼけた寝台。そこに、一人の女性が体を預けてらっしゃいました。  王妃と呼ばれたその人は、金糸の様に美しい髪を散らせ、形の整った眉をしかめておられました。 「ラ……はぁ……イナ……。」 「王妃様、大丈夫ですっ!! 私はここにおりますっ!!」  ライナと呼ばれた女中が、王妃の右手をぎゅっと握ります。  この美しい王妃は、『日の国』の第一王妃キュリア様。  元々は『日の国』の隣国であった『風の国』の王女様でしたが、『日の国の王』の侵略により、『風の国』が滅亡した後、捕虜として『日の国』に捕らえられたのでした。
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