序章:生誕

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 本来であれば、侵略した国の王族は全て皆殺しにするのが決まりなのですが、捕虜として捕らえられたキュリア様の女神の様な美貌に、『日の国の王』が大層惹かれ、特例として王妃として迎えられたのです。  そして、キュリア様が『日の国』に嫁がれる時、キュリア様のたっての希望で共にやってきたのが、女中であるライナでした。  乳姉妹であるライナとキュリア様は、幼い頃から本当の姉妹の様に育ち、祖国を失ったキュリア様にとって、ライナが心から信頼を寄せる事の出来る唯一の人物でした。 「王妃……キュリア様。息を深く吸って、吐いて下さい。大丈夫ですよ。お腹の子も、生まれようと頑張っておられますよ。」  出産時の痛みに必死に耐えるキュリア様に、ライナは優しく、諭す様に話し掛けます。
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