序章:生誕

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「そうよね……この……生まれる子の……為にも……私がしっかり……しなくてわ……。」 ぎゅっと、ライナの手を握り返し、キュリア様は痛みに耐えながら、優しく微笑みました。 そう、今まさに産声を上げ、『日の国』の後継者となられるお子の運命は、今このときにかかっているのです。 『生まれた子が男子であれば、即刻その場で殺せ。』  それが、キュリア様がご懐妊されたときに、王から告げられた言葉でした。  王家に男子が生まれる……それは、次期王となる後継者の誕生を示します。普通の王国であれば、後継者である王子が生まれることは、何にも変えがたい大変喜ばしいことです。
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