序章:生誕

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 その言葉を聞いた途端、それまでの緊張の糸が途切れたのか、キュリア様は口元を抑えながら、涙を流されました。 そう、生まれたのは男の子ではなく、女の子だったのです。 誕生を祝う声と共に、無事を祝う歓喜の声で室内が溢れました。 これで生まれてくる子を、王に殺されずに済むと。 ……しかし……。 「ううっ!!」 「!? キュリア様っ!?」  突然、キュリア様が再び苦しみ始めたのです。  ライナは慌て赤ちゃんを寝台に置き、キュリア様に駆け寄ります。  すると、何ということでしょう……。 「もう一人……もう一人お生まれになりますっ!!」  ライナの言葉に、辺りは騒然としました。女中達は慌て産湯を沸かし直し、布を用意します。  そして、大きな産声を上げ、二人目の赤ちゃんがお生まれになりました。
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