序章:生誕

9/15
前へ
/15ページ
次へ
ライナが再び赤ちゃんを取り上げて、産湯につけます。 元気な二人の赤ちゃんの産声が響く中、女中達は静まり返っておりました。  キュリア様の表情が曇ります。まさか……と。 「ライナ……。赤ちゃん……は……。」  恐る恐る、キュリア様がライナに問い掛けます。  先程と同じ様に、ライナは白い布で包んだ赤ちゃんを、キュリア様の側に置きました。 「王……王子……様……で……御座います。」  ライナの言葉を聞いた瞬間、キュリア様は声を上げて泣かれました。  女中達も、ライナも声を抑えながら、それでも嗚咽を漏らしながら泣き崩れます。  キュリア様が身ごもった子は、男の子と女の子の双子だったのです。  キュリア様とよく似た金色の髪と、二卵性双生児でありながら、まるで鏡の様に良く似た二人の相貌。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加