闇の底の底

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『な、なに?』 『あんた、舞に話しかけられたからって、勘違いすんじゃないよ』 上田に忠告されて、頭に浮かんだのは三上の鋭い目だった。 別に勘違いなんて・・・言い訳をしようとしたときには上田はもう春日の隣の席に座って鞄を探っていた。 勘違いするよ、やっぱり俺も男だし・・・。 なんて事は上田はもちろん、春日にも一生言えない俺だった。 キーンコーンカーンコーン------- 本鈴が鳴り響くと、同時に教卓に一番近い扉が開いて教師がやってきた。 『出席をとるぞ~』 俺もようやく席に着く。 今年の担任は郷田先生か・・・。 郷田先生が生徒の名前を呼び上げていく中、俺は教室の中央をボーッと眺めていた。 ・・・YOU・・・。 二年になって初めていじめを目撃した。
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