占い師

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歩くこと10分。 駅まで、あと半分といったところだ。 岸川、翔子、柊の三人は、例のマンホールというゲームの話題で盛り上がっていた。 「それでさー、カツラの間違い教えてやったら、キレて襲いかかってくるんだって!」 岸川が説明すると、柊が驚く。 「え~? あずさが教えてあげたら、お礼にアイテムくれたよ?」 翔子も驚く。 「そうなの? 私は無視されて、どこかに行こうとしたよ? ムカついたから、後ろから蹴飛ばしたら、カツラ落として逃げちゃった。」 岸川が笑う。 「ははは! マキちゃんらしいな~♪ けど、ランダムに選ばれてるんかな? やっぱ、難しいよな。」 なんだそれ? カツラ? ふと朝のサラリーマンを思い出す。 僕だったら、スルーだな。 そもそも、マンホールという名前に関連がない。 変わったゲームだな、と思いながらも三人の後ろをついて行く。 そして、僕の本来の目的地のスーパーが見えてきた。 帰りでもいいや、と思い素通りする。 横目で見ると、大売り出しの看板が目に入る。 『パンの耳 1セット 1ドル』 は? ドル? ここは日本だろ? 1ドルて100円くらいだったよな? 高くないか? まぁ、パンの耳なんて必要ないのでスルーした。 不意に岸川が立ち止まる。 「おっ!確かここから左に入ったとこだぜ。」 みんな岸川の後に続く。 左に曲がると、いかにも怪しい店が立ち並ぶ通りに出た。 『お金貸します。だから返して! 安心金融』 『ホラ薬あります。 月曜薬局』 『私の趣味聞いて下さい。 ネギ屋』 なにやら、訳のわからないものから、知ったことかと思える店までが並んでいた。 ネギ屋て何の店だろう? 流石にみんな怪しいと思ってるのか、無言で道を進む。 占いの店に行くと言っていたな。 僕は占いも十分怪しい部類に入ると思っていたので、並んでいる店を見て、一人で納得していた。 「もしかして、あの店?」 翔子が指差して、岸川に尋ねる。 「そう、そう♪ 早く入ろうぜ~♪」 翔子が指差した店は、いかにもといった占いの店だった。 『タロットカードの神秘。 占い師 マイケル ステイラー』 外人なんだ? 言葉通じるのかな? 四人は、のれんをくぐって中に入る。
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