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…んっ?
のれん?
「へい!らっしゃい!
四名様で?」
中に入ると、威勢の良い声が聞こえた。
その人は、50代くらいだろうか?
額にねじり鉢巻きを巻いた、いかにも寿司職人みたいな人だった。
周りを見ると、大きな水槽が二つ並んで、中にはハマチやらイカやらが泳いでいた。
さらにはカウンターのケースに並ぶネタ。
……ここ、寿司屋だろ?
「何にしやしょう?」
オヤジがおしぼりを渡そうとする。
「すいません。
占いの方なんですけど?」
そのオヤジと顔見知りなのか、岸川が店の奥を指差す。
「そうかい!
じゃ、奥に入いんなっ!」
オヤジが店の奥に入って行く。
「あ~♪
ビックリした~!」
「そうよね!
私、お寿司屋さんかと思った!」
柊と翔子がホッとして、口を開く。
そりゃそうだ。
この店を見て、初めての人なら、誰でも勘違いするだろう。
「だろ~♪
俺も初めて来たときは、動揺したしな~♪」
…岸川。
二回目なら、店に入る前に説明してくれ。
そして、岸川を先頭に、オヤジの後を追う。
奥に入ると、そこは少し薄暗くなっており、少し占いの雰囲気がでてきていた。
そこで、さっきのオヤジが待っていて、四人を椅子に座らせる。
「あのー?
今日はマイケルさんいないんですか?」
岸川が尋ねる。
「少し、座って待ってな!
今、準備しておられるから。
ほら!一人500円だよ!
あとコレに名前書いて!」
宿帳みたいなものと、鉛筆を渡し、無愛想に手を広げ、お金を請求する。
みんな気付いたように、財布からお金を出して渡す。
そして、一人ずつ名前を記入していった。
お金と宿帳を受け取ると、うっすら笑みを浮かべて、さらに奥の扉のなかに入って行った。
そして、すぐに扉の中からゴソゴソと物音が聞こえてきた。
「占いは一人ずつするから、呼ばれたら中に入ってね。
あとは、マイケルさんの指示通りにすればいいから。」
岸川が説明する。
と言うか、あのオヤジは一体中で何をしてるんだ?
「う~、
なんか、ドキドキしてきたぁ~♪」
柊が、楽しそうに話す。
「わ、私、占いとか信用してないのよね!
何を言われるのかしら?」
翔子は、信じてないと言いつつ、緊張しているようだ。
まんざらでもないみたいだな。
5分もしないうちに、奥から名前を呼ぶ声が聞こえる。
「きしかわサン。」
んっ?
この声は?
「お、おれっ?
名前当てたよ!すげー!
じゃ、先行くな!」
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