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やはり一人は落ち着くな。
しかし、さっきから気になっているんだが。
みんなの名前を呼ぶ声。
あれは、さっきのオヤジの声のような……?
まぁ、考えてもしょうがないので、夕飯を何にしようか迷っていたのだが。
ドカッ!
翔子が入ってから5分もしない内に、中から凄い音と同時に、翔子の怒鳴り声が聞こえた。
「何すんのよーっ!!」
「ひぃぃ!
ご、誤解デス!
待ってくだサイ!」
ゴスっ!
バタンっ!
そして、すぐにドアが閉まる音が聞こえ静かになった。
少し間があいて、何事もなかったかのように、僕を呼ぶ声がした。
「いちのせサン。」
中に入るのが少し怖かったが、仕方なく入ることにした。
ガチャ、ギィィ、
バタン。
中はさっきの部屋よりも、広くて暗かった。
日の光が一切入らない部屋で、ロウソクの明かりで中央までの道ができていた。
そして、中央には水晶玉の置かれたまるいテーブルが一つ、椅子が2つあった。
奥の椅子には、アラビアンナイトに出てきそうな黒いターバンを巻いた人が座っていた。
「さぁ、座ってくだサイ。」
僕は、無言でテーブルに近づき椅子に座ると、前に座っている人を見た。
その人は、ターバンが少しズレていて、左目を押さえいた。
「どうかしましたか?」
僕が尋ねてみた。
男は目から手を離すと、何事もなかったように話し始めた。
「なんでも、ありまセン。
始めまショウ。」
と言うか、近くに来て確信した。
この人はさっきのオヤジだ!
「さっきの人ですよね?
よろしくお願いします。」
僕は礼儀正しく、お辞儀をした。
「な、な、何を言ってるんデスカ?
私はマイケルデスよ!」
動揺するマイケルと名乗る男を無視して、部屋を見渡すと、すみっこの方にさっきまで着ていた服をみつけた。
ここで着替えたのか。
と言うか、これは詐欺なのか?
しかし、岸川は評判と言っていたしなぁ?
多少不安もあったが、せっかくなので占ってもらうことにした。
どうせ信じないのであれば、インチキでも同じだしな。
「気にしないので、始めて下さい!」
こうして、明らかに日本人でマイケルと名乗る男の占いが始まった。
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