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マイケルは、水晶玉に手をかざすと呪文のように呟き始める。
「見えまス、見えまス。」
何が見えるのかと思い、後ろに回り込んで、水晶玉を覗き込んでみる。
何も映ってない。
やはりインチキか。
「白い犬が見えまス。」
!?
僕は驚いた。
朝から二回も見た犬のことは、誰にも話していない。
何故この男が知っているんだ?
僕は大人しく椅子に座った。
そしてマイケルは、水晶玉を見ながら、続けて話し出す。
「あなたは、近いうちに穴の中に入ることになりまス。
その穴の中でのことは、あなたの望むものがあるショウ。」
穴?
犬はどうなったの?
望むもの?
顔を上げて、マイケルの顔を見る。
水晶玉を見ていたマイケルも顔を上げる。
「目を閉じてくだサイ。」
とりあえず、言われるままに目を閉じた。
「お前に今必要な事は、過去と向き合う事。
それから、白い犬を大事にな!
幸運を祈るぞ、ゆき!」
その瞬間、目の前が光ったような気がした。
と言うか、マイケル。
普通に喋れるんだ?
声も違ったし。
色々聞きたいことがあって、目を開けてマイケルを見る。
そこには、誰もいなかった。
それだけではなく、部屋もさっきより小さくなっており、テーブルにはタロットカードが散らばっていた。そして、マイケルが座っていた椅子と一緒に、さっきの男が倒れていた。
マイケル!
僕は慌ててマイケルに近寄ると、体を起こして肩を揺さぶる。
「マイケル!
さっきの話は何?
犬のこと何で知っているんですか?」
マイケルは割とすぐに意識を取り戻すと、僕の顔を見る。
「……いててて。
おっ、もう兄ちゃんの番かい?
何言ってんだ?
まだ占っちゃねーだろ?
座んなっ!」
マイケルは左目を押さえながら立ち上がった。
どうやら、さっきのことは覚えていないみたいだ。
その後、一応占いをしてもらったが、全然的外れで、気になることは一つもなかった。
僕は、占いはもういいです。と言って、占いを中断してもらった。
「すまねぇな、兄ちゃん。
この左目が痛まなければ、もっと調子が出るんだがな。」
僕は礼を言うと、そのまま裏口から外に出た
さっきのは一体何だったんだろう?
「あら?
四人いなかったか?
あの兄ちゃんしか、占ってないし、なんか左目は痛むし……
どうなってんだ?」
マイケルは首を傾げていた……
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