学校

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僕の席は窓側の一番後ろだ。 一番目立たないので、僕は気にいっている。 教室に入ると真っ先に自分の席に座り、外を眺める。 外の景色が好きなわけでもなく、やることがないからだ。 勉強はしたかったが、目立ちたくないので、家に帰ってからすることにしている。 休み時間もまぁこんな感じだ。 ホームルームまで、まだ時間があったので、隣の席で男子生徒二名がゲームの話をしていた。 確か大久保隆(おおくぼたかし)と、桐生義満(きりゅうよしみつ)だったかな。 大久保はサラサラの髪で中分け、眼鏡をかけている。真面目そうなゲームオタクだ。 桐生は坊主頭で、左耳にピアスをあけている。 やんちゃな感じの野球少年だ。 ゲームの話に興味はなかったが、なんとなく耳に入ってきた。 「隆さぁ、最近流行ってるゲームやった? 確かマンホールだっけ?」 大久保が笑顔で答える。 「やったよ! あれはマジで面白いって! 初めは意味がわからなくて、戸惑ったけどさ。 白い犬が鍵なんだって!」 白い犬?朝見た犬が思い浮かぶ。 まさかね。 白い犬なんて、どこにでもいるし。 「マジかぁ! ていうか、先の事言ったらダメだろ? 俺、まだやってないのに!」 桐生が喋っていると、二人の女子生徒が話に割り込んできた。 えっと、柊あずさ(ひいらぎあずさ)と、真木翔子(まきしょうこ)だ。 柊はサラサラのストレートで、腰まで伸びた真っ黒な髪が印象的のおっとりした感じの子だ。 僕の好みのタイプだが、話しかけたことは一度もない。 真木も同じく、腰までありそうな長い髪なのだが、色が栗色で左右に結んでいてツインテールにしている。 さらに、顔が整っていて美人であるため、言い寄る男はたくさんいるが、ことごとく失敗に終わっている。 はっきりした性格なので、僕みたいなヤツは嫌いらしい。 なのに幼なじみだからか、なにかと僕に話しかけてくる。 まぁ文句ばっかりなのだが。 この真木翔子。 僕のトラウマを知っているというか、その現場にいた。
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