日常

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あれ以来、雅美は時々家からくすねてきたという高級な食材をもってたびたび晩御飯に乱入するようになった。 「すき焼きおいひぃ~~♪」 霜降り肉を惜しげもなく入れたすき焼きを、雅美は美味しそうに頬張った。 「二人とも成長期なんだからしっかり食べてね。」 そういいながら、鍋奉行をしている姉が野菜を放り込んでいた。 家が狭いのを気にしていたのは僕の杞憂だったようで、雅美は僕らの家のリビングに異様なほど溶け込んでいた。 「そういえば・・・雅美君のお家の会社から大口の仕事があったのよ。」 「うちから?なんですか?」 「確か・・・業務提携する企業の創立パーティーだったしら。会場のお花のデコレーションの注文があったの。オーナーが久々の大仕事だってはりきってたわ。」 「ああ、確か兄さんが新しい試みとかいってた事業のパーティーだったかな?」 雅美は興味なさそうに言いながら、煮えた白菜をつまんだ。 「じゃあ、しばらくそのパーティーまでは残業なんでしょう?」 豆腐を崩れないように掬いながら僕が尋ねると、姉は頷いた。 「そうね・・・、遅くなるけれどご飯の準備はしていくから大丈夫よ。雅美君も来るときは早めにいっておいてくれれば多めに作っておくから。」 「いいよ、姉さん。ご飯の準備くらい僕でもできるし。」 そりゃぁ、姉さんの料理の腕には劣るけど・・・。 僕の言葉に姉は首を横に振った。 「奏は特待生だから、成績維持しないとだめでしょう?学業優先させて。ね?」 「でも・・・。」 「いいの。お手伝いは休みの日にでもしてくれたらいいから。」 姉はそういいながら、僕と雅美のお皿に丁度いいくらいに煮えたお肉を差し出した。 それ以上、姉に強く言えず、僕はすき焼きを口に入れたのだった。
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