嵐の前の…

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「……菜緒?ちょっと!?」 「えっ?何?」 隣の席の中嶋静香に肩を揺すられて、菜緒ははっと我に返る。 「ちょっと…いくら夜神先生がかっこいいからって、ぼーっとしすぎ!!」 静香はけらけらと、整った顔を崩しながら金に近いほど色の抜けた髪を揺らして笑い転げる。 「だって…かっこいいから仕方ないでしょ」 菜緒は頬を膨らませる。 最近赴任してきた夜神はモデルのような容姿の上、クールで口数が少ない所が、より女子たちのハートをくすぐっていた。 女なら誰もが惚れるような理想の存在。 「ほんと女ってああいうタイプ好きだよな。俺のほうがかっこいいだろ」 一人妄想に浸っていた菜緒の後ろから少し高めの青年の声が聞こえる。
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