自らをそう呼ぶ男

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ゼロとカナメは、ヘリオス帝国の王都、バイエルに来ていた。 ゼロ「あのバカ、俺になんかようか? 報告なんて明日でもいいのに」 悪態をつきながら目の前に立つ巨大なビル、【オーバード】本部を見る。 ゼロ「壁駆け上がって窓わっ…」 カナメ「ダメです。ちゃんと中から、正当な方法で入って下さい」 ゼロ「チッ」 今にもビルの壁を駆け上がろうとしていたゼロは、仕方ないなと呟きながらビルに入っていった。 ビルの最上階、総隊長室と書かれた部屋の前に着くと ゼロ「くらえバカ!」 いきなりドアを開け、柄の無いダガーを投擲する。 ?「うおっ!?」 ガタンッ 机に突っ伏していた金髪の男が、突然のことに驚きそのまま椅子からずり落ちた。 ?「あたたたた」 ゼロ「情けないねぇ、弱き総隊長殿」 総隊長と呼ばれた男は、金髪に金の瞳を持つ30歳位に見える人物だった。 カナメ「ミッション終了いたしました、ライガ殿」 総隊長・ライガは打った腰をさすりながら立ち上がる。 ライガ「ご苦労さん。早速だけどゼロには新しいミッションがある」 ゼロ「何?」 眠たそうに欠伸をしながらライガを見る。 ライガ「魔法学院に通ってもらう!!」 ゼロ「ハァッ!? 俺は魔力が無いんだぞ!!」 ライガ「だからこそ、だ」 どこから湧いてくるのか、意味不明な自信を持っている。 ゼロ「それに行く必要はないって言ったのはどこの誰だ!!」 ライガ「わたしぇべふぁ!!」 私だ、と言いきる前にゼロの地獄突きが喉に決まる。 ゼロ「だよな。他に遺言はあるか? あるなら100文字以上100文字以下100文字未満で述べよ」 つまり喋るな、と言うことである。 ライガ「がはっげほっ。ゆ、遺言はありません!! ですが、理由ならちゃんとあります!!」 ゼロの満面の笑みから放たれる殺気に顔を青ざめさせ、可哀想なくらい声が震えているライガ。 ライガ「ギ、ギルドランクを持たないゼロを、誰も認めようとはしないんだ」 ゼロ「"コード"があるからいいんじゃないの?」 ギルドランクとは、ギルドが定めるE~Sのその人の実力を示すランクの事である。 ギルドには魔法が扱える者は皆、登録する義務がある。
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