プロローグ

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アヴェルが書庫を出て廊下を歩いていた頃、アスク達がリビングに来ていた。 アスク「ねぇ、伯父様。アーくんどこにいるんですか?」 ティナ「アーちゃんはどこですか?」 まだ来たばかりだというのに、二人はアヴェルを捜し出す。 ジオ「ああ、アヴェルかい?もうすぐ書庫からくるは…」 「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 突如廊下から悲鳴が響きわたってきた。 ジオ「アヴェル!!」 ジオは、その悲鳴が自分の息子の声だと気づき、すぐさま廊下へと駆け出した。 アヴェルが廊下を歩いていると、突然空から黒マントにフードを被った男が現れた。 「貴様がアヴェルだな」 アヴェル「お前は誰だ?」 禍禍しさを感じる男を前に、口調が変わる。 男「そうだな。"ジョーカー"、とでも名乗っておこう」 アヴェル「"ジョーカー"?」 男・"ジョーカー"はそう言うと、両腕を広げ ジョーカー「貴様に死を与える者だ」 両腕から、目に見えるほど圧縮された風で出来た鎌を生やし、射出してきた。 アヴェル「ちっ! 風の魔法か!!」 廊下の柱を蹴り、三角飛びの要領で風の鎌をよける。 ジョーカー「ほぉ、子供の能力ではないな」 ジョーカーは腕を組み、その場からアヴェルの動きを見る。 アヴェル「魔法も使える!」 そう言って腕を突き出した。 アヴェル「ボルト・ショック!」 突き出された手から雷の中級魔法が、無詠唱で放たれる。 バチンッ アヴェル「なっ!?」 先程よけた風の鎌が雷撃を飲み込み、再びアヴェルに向かってきた。 アヴェル「まさか、最上級魔法!?」 風の鎌は周りの大気を吸い上げ、より大きく、より鋭くなりながら、よけ続けるアヴェルを追尾し続ける。 アヴェル「このっ!!」 なんとかよけた風の鎌が折り返してくる前に曲がり角に逃げようとしたが、その曲がり角から一人のメイドが出てきた。 メイド「あ、アヴェル様。皆様お待ち…」 アヴェル「危ないっ!!」 自分がよけては、メイドに当たってしまう。そう思ったアヴェルは、メイドを庇うように前立つ。 アヴェル「ノ……」 ザシュッ アヴェル「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 アヴェルの右腕が根元から切り裂かれ、鮮血を撒き散らしながら宙を舞った。
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