プロローグ

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ジョーカー「これで依頼は終わったか」 右腕のついていた場所を押さえ、大量の血を流しながらふらつくアヴェルを、まるで虫螻を見るような目で見る。 アヴェル「まだ…生きて…るぞ……」 霞む視界で荒く息を吐きながらも、必死に虚勢を張る。 ジョーカー「大した精神力だ。子供とは思えぬ」 何の前触れもなく、ジョーカーは片腕を突き出し、 バシュッ アヴェル「あがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 突き出された手から鋭い風の刃が放たれ、右目を切り裂かれる。 壁にもたれ掛かり、大量の血を流しながらビクビク体を痙攣させる。 ジョーカー「依頼…」 そう言うと何もない上空から圧縮された風の杭が現れ―― ブシュッ!! アヴェル「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」 ジョーカー「…完了」 ――心臓を貫いた。 ジオが書庫の前の廊下に着くと、顔面蒼白で服に血がベットリついたメイドと、黒いマントを着た男、そして―― ジョーカー「依頼…」 ブシュッ!! アヴェル「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」 胸から血を吹き出して倒れる息子の姿が見えた。 ジオ「アヴェル!!」 倒れたアヴェルには右腕と右目が無く、胸には大きな風穴があいている。 大量の血を流し、どんどん体が冷たくなっていく。 ジョーカー「…完了」 ジョーカーが、そう呟くと霞のように姿を消えていく。 ジオ「くっ、待てっ!!」 ジオの方を一度だけ見ると、笑みを浮かべて消えていった。
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