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家では、もう一人の俺が現れる。
「ただいま」
「青さん。お帰りなさい。もうすぐ模試でしょう? お勉強はかどっています?」
「心配ないよ。母さん」
いつものくだらない会話。
「期待していますよ。あなたもお父様のような立派なお医者様になってくださいね」
俺はにこりと薄っぺらい笑顔を母に向け、自分の部屋に向かった。
俺は昔から優等生と呼ばれる存在だった。
完璧で
優秀で
誰にでも優しくて
人に頼りにされている、好かれているという、実感があった。それだけで、どんなことでも頑張ることができたんだ。
高校に入りふと疑問に思ったこと。期待という重圧に耐え続ける日々はいつまで続くのか。
「青君がいるからきっと大丈夫だよ!」
「そうだな。青ガいレバ」
「アオクンガイレバキット・・・」
もう、うんざりだ。
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