俺と友と文化祭

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「案外遅かったね」 「知らない学校だからな。当然さ」 ロクはそれもそうだなと答え、陽気に笑い出す。 俺の友達の中でもロクほど人に好かれる人はいない。優しさ、雰囲気から近寄りやすい存在なのだろう。 ロクの視線は俺の左下へ向けられる。 「裕大、お前に妹なんかいたっけ?」 「ああ、この子は……」 ヒナに目を向けるとロクを警戒しているのか俺の足の後ろに隠れてその大きな丸い瞳でロクをジッと見ている。 小さい女の子が見ず知らずの人相手に警戒しないわけない。 「この子はヒナ。母さんの知り合いからわけあって預かってる」 「ほう」 「ヒナ。この人は怖くないよ」 「……ホント?」 「ホントにホント。優しい人だよ」 俺の言葉を聞いてヒナはそろそろとロクへ近づく。 ヒナの俺の握る手が強くなるのがわかった。
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