俺と幼なじみの新学年

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「裕ちゃんの肉体を観察してました」 指先をビシッと伸ばし、額辺りに当てて敬礼のポーズ。そして空いている右手には双眼鏡。 こいつ、幼なじみである植本紫音(うえもと しおん)は制服姿で俺の目の前にいる。 こんなに近くで双眼鏡はいらないだろ。 「いつからいたんだよ」 「裕ちゃんが起きる十分前くらい。あたし、一人でずっとここにいて寂しかったんだからっ!」 と、間髪入れずに飛び付いてくる紫音を華麗にかわす。そのくらいの行動はおみとおしだ。 俺はすかさず部屋の窓チェックをする。昨日はちゃんと閉めたはずの鍵が空いていた。 「うぅ、裕ちゃんが意地悪するぅ」 涙目で訴えても無駄だ。その表情に簡単に騙される俺ではない。 俺の家と紫音の家は隣同士だ。ゆえに屋根を伝って互いの部屋に行き来することが可能となる。 俺から紫音の部屋に行ったことはないけれども。 一歩間違えれば(すでに間違えているが)犯罪となる行為を平然としてしまうのが植本紫音である。
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