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これは、グローリーにおいて、二つ名を変更する者に対して行う儀式のようなもの。
異議申し立てがあるのであれば、この場で言えば聞かれるが、この場以外では、二つ名に対する異議申し立ては受理されない。
「ありません」
「ならば、汝はこれより『漆黒の道化』を名乗れ」
「御意」
この日から、レイは『漆黒の道化』を名乗る事となる。
一連の儀式が終了してから、レイは師団長を見据え、口を開いた。
「何故…道化なのですか」
理由などわかりきっていた。
朔夜の二つ名から取った名だと言う事など、火を見るよりも明らかだ。
それでもレイは聞いた。
この男から聞いておきたかったのだ。
「道化は、『氷雪の道化』
我が娘…朔夜の二つ名…
君になら託せる…
朔夜の想いと共に戦ってくれ」
朔夜の父であるこの男に聞いておきたかったのだ。
「修吾<シュウゴ>さん…」
レイは、師団長の…朔夜の父、修吾の名を呼んだ。
「任せてください
あいつの…朔夜の想いは俺が一緒に連れていきます」
「頼む」
二人の間に沈黙が流れた。
窓の外を見れば、いつの間にか日が陰り、空からは雪が降っていた。
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