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「聞こえてしまいましたか~」
やれやれとでも言いたげな様子で、肩を竦め、おどけて見せる。
「本当の名も…ファミリーネームも…過去も全て捨てました。
だから、わたくしは『レイ』なんです。
なにもない…数字の0
ピッタリの名です」
続けて言ったレイの顔からは、悲しみの色など感じられなかった。
だが、ニアにはわかってしまった。
レイの内に眠る悲しみの感情に…
「そうなんだ」
それでも、ニアは気がつかない振りをする。
本人が必死で隠している悲しみを指摘するのは忍びないと考えたからだ。
「そうだ!
だったら、お前…エクスフィアの性を名乗らないか?」
ニアは突拍子の無い提案をする。
「………はい?」
レイは若干呆れながらも聞き返す。
「返事はイエスか
エクスフィアの性を名乗るのだな」
「いやいや、疑問形の『はい』だってわかっているでしょうに」
ニアのわざとらしい勘違いの振りに、レイは思わず突っ込むが、ニアの勢いは止まらない。
「レイの年はいくつだ?」
「15ですが…」
レイは嫌な予感がするが、一応に答える。
「同い年か…誕生日は?」
「3月です…」
「そうか…
なら、私が姉だな」
ニアは勝手に話しを進めて行く。
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