第一章

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「気にしないで下さい あ~っと」 レイは女性の名前を知らないので、言葉に詰まる。 その様子を見て、女性は微笑んだ。 決して馬鹿にした笑いではなく、むしろ、癒しを振り撒く笑みだ。 「ここの寮の管理人で、フィル・パーシバルと言います。」 名を名乗った後に頭を下げ、 「フィルって呼んで下さいね」 頭を上げて、微笑みを称えたままウインクして言った。 大半の男子ならばこれにときめいてしまうだろうが、レイは一切動じる事なく、逆に微笑みながら口を開く。 「よろしくお願いしますね…フィルさん」 その微笑みは、ゴウに凄い破壊力とまで言わしめた程にかわいらしかった。 「は、はい~」 フィルの顔が赤く色づいた。 「顔が赤いけど、熱でもあるんですか?」 しかし、レイはまったく気づいていない様で、心配そうに顔を覗き込む。 「だ、大丈夫です~ …レイさんには部屋の鍵を渡さなくてはいけませんので、管理人室まで来てくれます?」 覗き込んだレイの顔が余りにも近くて、さらに赤く染まった顔を、反らしながら言った。 「?…わかりました」 何故、顔を反らされたのかわからなかったが、とりあえず、了承して、フィルについて行く。
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