2405人が本棚に入れています
本棚に追加
「気にしないで下さい
あ~っと」
レイは女性の名前を知らないので、言葉に詰まる。
その様子を見て、女性は微笑んだ。
決して馬鹿にした笑いではなく、むしろ、癒しを振り撒く笑みだ。
「ここの寮の管理人で、フィル・パーシバルと言います。」
名を名乗った後に頭を下げ、
「フィルって呼んで下さいね」
頭を上げて、微笑みを称えたままウインクして言った。
大半の男子ならばこれにときめいてしまうだろうが、レイは一切動じる事なく、逆に微笑みながら口を開く。
「よろしくお願いしますね…フィルさん」
その微笑みは、ゴウに凄い破壊力とまで言わしめた程にかわいらしかった。
「は、はい~」
フィルの顔が赤く色づいた。
「顔が赤いけど、熱でもあるんですか?」
しかし、レイはまったく気づいていない様で、心配そうに顔を覗き込む。
「だ、大丈夫です~
…レイさんには部屋の鍵を渡さなくてはいけませんので、管理人室まで来てくれます?」
覗き込んだレイの顔が余りにも近くて、さらに赤く染まった顔を、反らしながら言った。
「?…わかりました」
何故、顔を反らされたのかわからなかったが、とりあえず、了承して、フィルについて行く。
最初のコメントを投稿しよう!