第一章

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「ん…おいしいです。」 「ありがとうございます」 二人はコーヒーを飲みながら、談笑をした。 世間話、今日の授業の事などを話し、笑い合っていた。 「少し暑いですね?」 レイはそう言うと、着ていたローブを脱ぎ、ブレザーとワイシャツを脱いで、黒のロングTシャツに黒のパンツという、比較的ラフな恰好になった。 「あら?」 その姿を見て、何かに気付いたようにフィルが声をあげる。 「どうかしましたか?」 レイは皆目見当も着かないと言った様子で首を傾げながら聞いた。 「そのネックレス綺麗ですね?」 フィルがレイの胸元に輝く、氷の結晶のデザインのネックレスを指差した。 「ありがとうございます」 微笑みながら、それを指で摘んでみせる。 「彼女からのプレゼントかな?」 何気なく言ったフィルの一言にレイの微笑みが消えた。 替わりに出てきたのは、悲しみに満ちた顔。 「レイ…さん?」 「これは、俺にとって大事な奴に貰った物なんです… でも、そいつはもう……居ないんです…あいつは…もう……」
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