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ここは木々が鬱蒼<ウッソウ>と生い茂る森
その木々のせいで昼夜関わらず薄暗い
近隣にある街の住人ですら足を踏み入れることを躊躇<タメラ>うこの森に、一人の人間と数多くの魔族が居た。
「なんだガキ~?
俺達、魔族様に殺されに来たか?」
「「「ギャハハハハ」」」
魔族は、人間を子供だと認識すると、嘲<アザケ>るように笑った。
人間は、漆黒と呼ぶに相応しいローブを纏い、同じく漆黒のフードを深く被っているため、性別まではわからないが、身長から考えて、子供に違い無いだろう。
「ヒャハハ
ビビって声も出ないのか?」
森には魔族の下品な笑い声が響く。
しかし、子供は一切動じる事なく、フードに隠れて見えないが、魔族達を見据えていた。
「煩いな」
高く、凛とした綺麗な声でポツリと呟いた後、姿を突然と消した。
喋り方から考えて少年は、魔族の眼に写らない程に速く動いていた。
「どこ行きやがった!
おまえら!あのガキを捜せ!」
リーダー格の魔族は、部下に命令するが、返事は返って来なかった。
嫌な予感がして後ろを見ると、部下達の首無し死体を見つける。
「何なんだよ?」
リーダー格の魔族は、後ずさりしながら呟いた。
「煩かったから死んでもらった」
先程と同じく高く、凛とした声…
同時に冷たさを、すべてを凍り付かせる程に冷ややかな声で言った。
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