第一章

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少年は、ようやく学園長室の目の前に着いた。 扉の上には『学園長室』と書かれた札が掲げてあるので間違い無いだろう。 <<コンコン>> 少年が控えめにノックをすると、中から声がした。 「どうぞ」 「失礼します」 声を確認すると、少年は扉を開けて、礼をする。 「君が編入生かい?」 顔をあげると、若い男性が立って居た。 適度な長さに切り揃えられた髪に調った顔立ち。 かっこいいでもかわいいでも無い、柔らかい雰囲気を振り撒くその男性はニッコリと微笑んでいる。 「はい。 レイと言います」 少年、改めレイは、礼儀正しくお辞儀をした。 「レイ君だね…ファミリーネームは?」 「…ありません」 学園長の問いに、レイは少し黙った後にそう言った。 「無い?」 学園長は怪訝な顔で聞いた。 「はい…無いんです。」 「そうか…わかったよ それについては聞かないようにしよう。」 学園長は何かを察したのか、そう言うと、踵を返し、椅子に座った。 「君のクラスについてだが、魔力の量や、編入試験の時の点数を考慮して、特待生専用のSクラスになった。 ちなみに、特待生としての編入は君が初めてなんで、頑張ってくれたまえ」
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