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少年は、ようやく学園長室の目の前に着いた。
扉の上には『学園長室』と書かれた札が掲げてあるので間違い無いだろう。
<<コンコン>>
少年が控えめにノックをすると、中から声がした。
「どうぞ」
「失礼します」
声を確認すると、少年は扉を開けて、礼をする。
「君が編入生かい?」
顔をあげると、若い男性が立って居た。
適度な長さに切り揃えられた髪に調った顔立ち。
かっこいいでもかわいいでも無い、柔らかい雰囲気を振り撒くその男性はニッコリと微笑んでいる。
「はい。
レイと言います」
少年、改めレイは、礼儀正しくお辞儀をした。
「レイ君だね…ファミリーネームは?」
「…ありません」
学園長の問いに、レイは少し黙った後にそう言った。
「無い?」
学園長は怪訝な顔で聞いた。
「はい…無いんです。」
「そうか…わかったよ
それについては聞かないようにしよう。」
学園長は何かを察したのか、そう言うと、踵を返し、椅子に座った。
「君のクラスについてだが、魔力の量や、編入試験の時の点数を考慮して、特待生専用のSクラスになった。
ちなみに、特待生としての編入は君が初めてなんで、頑張ってくれたまえ」
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