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「本当に来るのかよ。」
鄙びたバス停の待合室
ここで待っていれば、ばーちゃんが迎えの人間をよこしてくれると言っていたから…かれこれ1時間くらいは待っている。
隣にいる妹の珠紀は、待ち疲れて眠ってしまっているし
俺1人ならまだ待ってられるけど……今は、珠紀もいるからってか女の子がいるのに待たせるってどうなんだよ!
「でも……懐かしいな」
森や田んぼばかりの風景に耳を掠める静かな虫の声や風の音、その全てが懐かしく思える。
この村に来たのは、小さい時以来だから
まぁ…ばーちゃんには、俺が他の人と少し違う分何度か電話で相談に乗ってもらってたりしてたけど……
「…待って!」
「珠紀?」
さっきまで眠っていた珠紀が突然声をあげた
「あ…お兄ちゃん」
俺が驚いた顔で珠紀を見ていると珠紀は、恥ずかしそうに顔を赤くした。
「何の夢を見てたんだよ」
「いつもの変な夢かな……?」
「変な夢…」
珠紀がいつも見る夢
どんな夢だかしらないけどその夢を見た後、珠紀はいつも覚えてなくて……いつもどうしようもないくらい悲しい気持ちになるらしい
「…でも大丈夫だからお兄ちゃんは、気にしないで!」
珠紀は、俺に心配をかけないようになのか明るく言った。
「あ…そういえばお兄ちゃん迎えの人って……」
「まだ来てないよ。」
時間を見て珠紀は、不安そうに聞いてきたけど
迎えの人は、まだ来てない
ってかいつまで待たせる気なんだよ
「ねぇ、お兄ちゃん。
私おばあちゃんの家までなんとなく覚えてるから歩こう!!」
「え…ちょっ珠紀!」
俺の意見なんて聞きもしないで珠紀は、1人で颯爽と歩き出す。
「仕方ないな…珠紀、その荷物俺が持ってやるから」
「ありがとう」
俺は、珠紀の大荷物を持って珠紀の後をついていく
珠紀は言い出したらきかないからな……
まぁ…バス停から村までは、一本道だから迷うこともない。それに歩いてたら迎えの人にも会えるだろうし問題は、ないよな。
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