記憶のひとかけら1

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「気をつけて」 マンションの下まで、母親と義父を見送った。 「今日は、ありがとう。楽しかった」 義父は、手を差し出した。 固く手を握りながら、俺は言った。 「これからも母をよろしくお願いします。俺は、ずっと側にいることはできないから…」 「あぁ、任せてくれ。卒業おめでとう」 中学3年のときに、2人目の父親が出来た。 はじめは戸惑いもあったが、1人で頑張っている母親にパートナーが出来てよかったと思った。 「おやすみ」 「おやすみなさい」 笑顔で手を振ってくれる両親に、俺は幸せだった。
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