悲劇の始まり

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時は戦国。 世は戦乱の時代。 各地をそれぞれの大名が治める中に戸張城(とばりじょう)は有った。 「兄上ーッッ!!!」 火が放たれた城内に、宵(よい)の悲痛な叫びが響く。 最奥の部屋で、腹部から大量の血を流し兄は倒れていた。 煙の中から、兄の近くに敵の大将らしき人物が立ち尽くしているのが見えた。 「…っ、貴様ァーッ!!」 脇差しの刀を引き抜き、燃え盛る炎の中を必死に向かって行く。 血に塗れる兄の脇を駆け抜けー 宵は大将に切り掛かった。 ガキンッ! 刃の交わる音がした。 睨みあう瞳に映る憎しい敵の顔。 歳の頃は、兄とさほど変わらない程だった。
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