復讐の刻

6/6
前へ
/116ページ
次へ
敦盛は黙って宵を起こすと小机へと向かった。 「兄上…なのか?」 宵は不安げに尋ねる。 「これに見覚えがあるだろう」 敦盛が持ってきたのは血が錆び付いた小刀だった。 「これは…!!」 銅の柄にはめられた翡翠の曲玉は兄の物だった。 ーやはり敦盛は兄上?! 「それは余の兄の物だ」 ?! 「そなたが兄と慕ってきた男は余が兄、五所河原貞継兼盛(ごしょがわらさだつぐかねもり)じゃ。」 ー五所河原… あの兄上が敵の者だったと? 「宵、昔話をしてやろう」 敦盛は上着を羽織ると、窓際へと歩き出した。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1307人が本棚に入れています
本棚に追加