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敦盛は黙って宵を起こすと小机へと向かった。
「兄上…なのか?」
宵は不安げに尋ねる。
「これに見覚えがあるだろう」
敦盛が持ってきたのは血が錆び付いた小刀だった。
「これは…!!」
銅の柄にはめられた翡翠の曲玉は兄の物だった。
ーやはり敦盛は兄上?!
「それは余の兄の物だ」
?!
「そなたが兄と慕ってきた男は余が兄、五所河原貞継兼盛(ごしょがわらさだつぐかねもり)じゃ。」
ー五所河原…
あの兄上が敵の者だったと?
「宵、昔話をしてやろう」
敦盛は上着を羽織ると、窓際へと歩き出した。
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