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時は二十余年前に遡る。
宵の父が治める戸張と敦盛の父が治める五所河原は、長年勢力争いをしていた。
三度目の戦に敗れた五所河原は、我が子と引き換えに不可侵条約を結んだ。
その人質に立てられたのが敦盛の双子の兄、兼盛…後の兼松だった。
まだ当時、五つだった兼松は臆する事もなく命に従った。
宵が生まれ元服までの間、兼松が影武者として世継ぎを努める事となった。
暫く戸張に居るうちに、兼松は戸張公を親のように慕うようになった。
そして戸張公もまた兼松を我が子同然に可愛がった。
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