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「「はぁー……」」
宵の着物姿に二人は感嘆の声を漏らす。
「どうだ?怪しまれるか?」
怪しまれるどころか、こんなに美しい女がこの世に他に居るだろうか。
整った顔立ち、長い睫毛、細い首筋に透き通るような白い肌。
淡く微笑む笑顔は全ての者を魅了した。
宵を造る全てが、男とは思えなかった。
「宵は…美しいよ。」
泉水が帯を整え、そう言う。
「…姫だね!宵姫さまだよ!」
菊水は嬉しそうに言う。
「言い過ぎだよ、菊水。…泉水、城まで付いてくれるか?」
「あぁ、勿論だとも」
「宵!必ずあたしも行くからね!!」
「有難う。…では参る。」
泉水の呼んだ籠車に乗り込み村を出る宵を、菊水は涙を浮かべて見送った。
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