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周りの友人が付き合ったり別れたりを繰り返すなか、僕たちはもう大分長いこと一緒だった。
自分でもよくこんなに「もっている」なあなんて思いながら、君の奇行は少しずつエスカレートしていった。
一人笑いも頻繁になって、独占欲や嫉妬がどんどん強くなっていった。
メールや電話が極端に多いのはまだ嬉しいと思えたが、無言電話が初めてかかってきた時はさすがに恐怖を覚えた。
触れると爪を立てたり噛みついたり、やたらと僕に傷をつけたがった。
これはもう放置できないと思い、ちょっと話をしよう、と言った日のこと。
最初っから別れ話をしようという気はなかったのだが、似たような空気を君は察したのか、泣き出して明らかに混乱していた。
「ごめんなさいやっぱり私たち付き合うべきじゃなかったでも嫌別れたくない貴方のこと好き好き好き好き大好きっ…」
僕は君の肩をつかんで落ち着かせようと試みる。
「大丈夫別れようなんて思ってないから…」
「嫌だ嫌だ嫌だずっといてここに居てじゃないとっ…」
最早僕の声は届いてないようで、君は自分で自分の発言に驚いて口を噤んだようだった。
君の呼吸は荒いまま涙も止まらない。
「じゃないと?」
逆に僕は変に冷静すぎたかもしれない。
「ごめっ…なさっ…」
まだ君のことを嫌いになってはいなかったが、冷たい表情になっていたのは自分でもわかった。
髪を撫でようとすると一瞬怯えたが、すぐに僕の手にすがりついてきた。
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