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まだ4月だというのに、今日はポカポカと温かい。
腹が膨れたら眠くなるのは人のサガ。
オレはふぁ~と大あくびをしながら屋上に向かっていた。
屋上へと続く扉をガチャリと開けると、
「ありゃ、先客。」
オレと同じサボリ組らしい生徒が2人居た。
寝そべってたヤツが、軽く体を起こしてこっちを振り向いた。
「お前、同じクラスの・・・。」
「うずまきナルトだってばよ。」
と名乗りながら、オレも隣に腰を下ろした。
「奈良シカマルだ。」
とそいつはまたごろりと横になった。
「オレは秋道チョウジ。よろしくね。」
シカマルの隣でスナック菓子を食ってたヤツが「食べる?」と差し出してきたので、オレは「サンキュ。」と一枚だけもらっておいた。
ふいに4月にしてはやけに温かい風が吹き、生徒達の歌声を運んできた。
「お、やってるやってる。」
とシカマルが空を見上げたまま言った。
「音楽なんか、やってられっかー!」
とオレもごろんと仰向けになる。
キレイなピアノと共に、世界中の幸せを願うという偽善的な歌詞が聞こえる。
オレは(歌えるかよ、こんな歌。)と心の中でつぶやいた。
真昼の太陽が眩しくて、右腕を額において陰を作る。
「そういえば、新しい先生が来たんだよね、音楽。」
とチョウジが言った。
「へぇ、美人?」
と少しだけチョウジの方に顔を向けて聞いた。
「男の先生だったよ。」
とチョウジが言ったので、「なんだ。」と呟いた。
「始業式に紹介されただろ。」
とシカマルが言った。
「行ってねーもん。かったりぃ。」
額に当てていた腕を目の上まで下げると、一気に睡魔が襲ってきた。
キレイな音色が、耳障りだ。
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