■大切な友を送る歌

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VOCALOIDが何故意思を持たされたか等と云うそれは、歌に感情を持たせるためとのプログラムが答えた。彼はその感情の起爆剤は何かと問うた。従来の機器では喜びの歌に怒りの感情を込めることは不可能というプログラム。VOCALOIDならばそれが出来る。明確な違いは、そこにあった。それが売りだった。 人間は喜びの歌を怒りに任せて歌う事はしない、彼は言った。何故なら起爆剤が無いからだと、君達は人間に近い様で、ある意味で人間を超越した者達なのだと、人間は君達の様に完璧でないが故に人間なのだよと、僕の核を指した彼。人間の心臓の様に、1番大切な核が眠る左肩胸は人間のそれと同じ様に上下した。 人間には、心というそれがそこに有るらしい。感情と似て非なる、見えるけど見えない物なのだそうだ。心が苦しいと胸が苦しくなるのはそのせいだよと彼は言ったが、過度のストレスや不安から来る呼吸器官の不調だとは言わないでおいた。 僕はずっと彼といた。彼は何でも、プログラムの答えと違う、新しい答えを教えてくれた。それを心と例うなら、貴方が亡くなったと聞いて、機械としての体が涙を流せない事を寂しいと思って良いですか?痛覚など知らなかった僕の核が、無数の針を立てた様に痛むという事実は、貴方によって心が宿ったと勘違いをして良いですか? 貴方へレクイエムを歌う、僕というプログラムだけではその楽曲製作に必要な感覚は無いに等しく、音楽にすらならなかったけど、これは心だ。           》大切な友ヲ送る歌。     ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 僕の文章では気付いたら人があっさり死んでいる。
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