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厩には多種多様な騎獣達が並んでいた。大きく白い虎のような物であったり、翼の有る犬であったり。
「うーまー、うーまー」
「こっちだよ」
蒼黎を呼んでいる利広の傍には黒地に、白い縞、赤い鬣に、黄金色の目をした馬が堂々たる様子で立っていた。
「うわー。すごーい」
そう言って呆けるように吉量を見つめている蒼黎を利広がひょいと抱え上げて吉量に乗せた。
「そらをとぶのー?」
「そうだね。空を駆けてくんだ」
そんな風に蒼黎の止むことのない質問に答えながら禁門へと向かった。
禁門には門卒しかいない。彼らに門を開けてもらい、下界へと通じる門をくぐった。
禁門をくぐると空は青く晴れ渡り、頬を撫でる風が心地よい。
蒼黎の後ろに騎乗し、手綱を取る。
「ねぇ、どこに行くの?」「さあ。どこだろうね。でも、きっと君が見たことも無いものが見られるよ」
そう言って吉量の手綱を打つ。
吉量は地を蹴り、大空へと力強く飛翔した。
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