カンタレラ

7/9
前へ
/12ページ
次へ
    ミクレチアを殺めて、自分の物にしてしまえば、僕はそれできっと満足するはずだった。 だけど、ミクレチアが居ないこの世界など、僕には何の意味も無い。 「…ミクレチア」 『カイザレお兄様』 「ミクレチア…ッ!!」 僕の名を呼んでくれ。 君の鈴のような声で そして、君のその美しく煌く瞳に僕を写してくれ 涙が頬を伝う けれど、いくら泣いたところでミクレチア僕の元へ返ってはこない 思い切り目を瞑り嗚咽交じりに声が洩れた。 「私を捕まえて、カイザレお兄様」 ポツリとミクレチアの声が聞こえた。 と同時に僕の手が思い切り引かれ、ミクレチアの上へと倒れこんだ。    
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加