カンタレラ

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    「ミク…レチア?」 僕が呆然と目を丸くし、ミクレチアを眺める。 「カイザレお兄様」 ミクレチアが僕の名を呼ぶ。 綺麗な声色で、ただ僕の名前を。 「い…きて…」     僕が言葉をつむごうとすると、ミクレチアはそっと僕の唇にその綺麗な指を押し当てた。 「知っていたんです」 カイザレお兄様が、ワインにカンタレラを入れていたことを。 知っていたから、ワインをすり替えて、私が死んでしまったカイザレお兄様がどうなさるか試したのです。 「私も、カイザレお兄様と同じ気持ちでしたから」 この狂わしい想いを私も抱えきれなくなっていたから 「私はカイザレお兄様に捕まえてもらいたかったから」 そういってミクレチアは僕の唇に自分のそれを重ねた。 ゆっくりと唇が離されるとお互いに吐息が洩れ、熱に浮かされた顔色でお互いを見つめ合う。  
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