カンタレラ

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    僕とミクレチアだけがこの屋敷に存在している。 使用人など居なくとも、別段、生活に困ることはない。 「カイザレお兄様、見てください。綺麗な花が咲いています」 そうやって微笑む君の方が、どんな花よりも美しく、可憐だ。 僕の手を離し、その花の元へと駆寄る姿さえまるで蝶のように美しい。 このミクレチアへの思いに君が気づいているのか、否か。 僕がいくら気づかない振りをしても、もう遅いのかもしれない。 この酔いを悟られるのは時間の問題だろう。 ならば―…
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