カンタレラ

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        ミクレチアに対する想いがありふれて恋心だったらどんなに良かったのだろうか。 妹に対する恋も禁断的ではあるが、僕はそれ以上に、彼女を殺め、あの小さな命を私の手の中に閉じ込めておきたいとさえ思っている。 …これはありふれた恋心などではない。 もし実際に僕がミクレチアを殺め、僕の手中に収められるとしたら? …後悔、するのだろうか僕は。 只、ミクレチアに対する想いが今にもはちきれそうになっているのは事実だ。 「………」 僕はそっと手の中の『カンタレラ』を握り締めた。  
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